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2006年9月22日 (金)

民主主義って?

タイでクーデターが起きて、それまで政権を維持していたタクシン首相が失脚した。「軍事クーデター」ということで欧米各国は懸念をしているようだが、とりあえず国民の支持はあるようだし、今のところ流血沙汰も聞こえてこない。社会や経済も翌日からクーデター前と同じように動き出しているようである。

新しいニュースでは政治集会(5人以上での政治の話は禁止)に対しての統制命令が出ていて、それに対する静かな抗議集会が計画されているらしい。それに対する対応や今後の動きも分からないので拙速な判断はできないが、国民がクーデターを支持したのは、政治的混乱が続くことへの懸念であるのではないかと分析されている。

いわゆる「民主主義」についてだが、必ずしも完璧で万能なわけではない。歴史的に見てもドイツのナチス政権は、ワイマール体制という民主的な制度の中で生まれ、成長した。日本の例でも、国民の大多数が反対したイラクへの自衛隊派遣を、なぜか「民主国家」である筈の日本政府は強行している。パレスチナでは、民主的な選挙で選ばれた最大多数の政党に対して欧米がクレームをつけ経済封鎖を行ったが、ある意味では明らかな内政干渉である。そして、アメリカ……。生存権も危ぶまれるほどの格差の中であえぐ人々の存在を見れば、この国が「民主主義」だなどと、悪い冗談ではないかとさえ思う。

何か、厳密な共通イメージを持たぬまま多用される「民主主義」だが、やはり政府に都合の悪いことも含めて情報がきちんと公開され、マイノリティーや少数意見もきちんと尊重されることが必要だし、国民(人民)ひとりひとりが公開されている公正な情報(もちろん「大本営発表」を【公正】とは言わない。日本やアメリカのマスコミは「大本営発表」に限りなく近づいているようだか…)を判断する力を持っていることが前提である。

日本やアメリカの様子を見ていると「民主主義」の腐敗や政府・制度の暴走(少数意見を抑圧したり無視したりする【多数決】は決して民主主義ではない)を止める術がないのではないか…という思いもある。その意味で、タイの状況は興味深い。欧米の批判はあるし、短期間であるとしても言論への統制は危惧を感じるが、今後の展開によっては、「民主主義」の暴走を制御する一つのモデルになる可能性もあるのではないか、とも思う。とりあえず、社会や世界の様子を注意深く見守っていきたい。

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コメント

タイでは今までにも頻繁に発生してきたクーデター。タイの民衆はこのクーデターを「パティワット」(革命という意味もあります)と言ってこれを歓迎するところに、タイの政情が伺えますね。
彼らは単に自分達の利益について不満があるだけであって、タクシンの今までの政策を正しく評価してはいません(と言うより何も考えていません)。この民衆心理をプレム氏が陰で糸を引く構図で一部の軍部・閣僚が利用してクーデターを正当化しているに過ぎない。
こんなところにタイの民主主義の脆弱性があるわけで、タイ国民の政治に対する意識レベルを上げない限り、タイはいつまでも民主主義には成れないですね。
うちのかみさんは、タイから離れて初めてタイ国民の政治に対する盲目さについて知ったようです。今回のクーデターについても冷静な目で見て批判しており、この事件が民主主義に繋がる良い結果とはならないと感じているようです。僕もそう思います。タイが変わらなければならないのは貧富格差を無くすこと。これがタイの民主主義実現の第一歩だと思います。労働の平等とそれに伴う国民の労働と政治に対する意識の高揚がまずは改革の第一歩だと思うんですけどねぇ,,,

投稿: うるとらの音 | 2006年9月23日 (土) 13時57分

問題は、日本の言論自主規制がほとんど言論統制と同じような効果を生みつつあるという現状で、それはアメリカも同じです。

こうしたメディア・コントロールは、民主主義を形骸化・暴走・腐敗させる大きな要因の1つであり、日本の現状もアメリカの現状もあまりタイを批判できるレベルではないなあ…という感じです。

日本の現状で見ると、愚かな右翼ポーズの利権政治屋よりも、非常に優れたバランス感覚と判断力を皇室が持っているようです。それは、ある意味では皇室に期待してしまう思いを生じさせてしまいます。本当の意味での民主主義にとっては、そちらの方が問題かもしれませんが、1つ言えることは、日本は民主主義を逸脱する方向に舵を切りたい勢力の発言が多くなって、それなりに影響が出てきています。

子どもはいませんが、未来の世代のことを考えるとその点がとても気がかりです。

投稿: TAC | 2006年9月23日 (土) 15時28分

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