« 誰のための日の丸・君が代 | トップページ | 「学力」って… »

2006年9月24日 (日)

カワイイの上下構造

「カワイイ」という言葉を、最近、本当に様々な場面で耳にする。15年、あるいは20年ほど前には絶対に使われていなかったような場面でも、この「カワイイ!!」という言葉が飛び出す場合も少なくない。けれども、このカワイイという言葉は、けっこう曲者(くせもの)である。なぜなら、その背景には必ず上下構造が存在しているからである。

「カワイイ!!」という言葉が発せられる場面を少し想像してみよう。その言葉を発する側は、その言葉の対象よりも立場あるいは能力や力の面では上に位置するという無意識の前提がある。例えば、ある男が彼の恋人やガール・フレンドに対して「かわいいね」と言う場合、彼女を保護の対象(いわゆる【守ってあげたい】と感じている)と見ている。なぜなら、彼は自分の女性上司や先生など上の立場もしくは自分より力を持つ異性に対して「カワイイ」とは感じないからである。女子中学生や女子高校生が子ネコを拾ってきて「カワイイ!!」と言っているような場合でも、圧倒的な力の差が存在している。彼女たちはその気になれば子ネコを殺せる力を持っている一方で、サバンナや密林で無防備な形でライオンやヒョウに遭遇した時には絶対にライオンやヒョウを「カワイイ!!」と感じないであろうことは誰でも想像できるだろう。

では、女性が彼女の恋人を「カワイイ」と感じるような場面はどうか。多分、バリバリと仕事をしている時や、何らかのトラブルに際して自分を守ってくれている時ではなく、無防備にくつろいでいる時や他愛のない失敗をして世話を焼いている時などに感じる場合がほとんどではないか……と思う。無防備な場面では、その気になれば女にでも男を殺すことができたりするし、世話を焼くのは、そこに焼くものの方が能力が上であるという前提がある。だから、心の中では、自分の方が上と(あるいは無意識に…)感じているから「カワイイ」と思うのである。

もちろん、「カワイイ」と感じる相手に対して、まず悪意や害意は持たない。あくまでも、守ってやろう、保護してやろう、世話をしてやろう、という思いや行為が伴い、それは対象にとって利益になる場合が多い。けれども「…してやろう」と思うその中には、どこかしらその相手や対象を下に見ている意識(もしくは無意識)の存在、上下構造がある。

だからといって、特に何か問題があるのか、と言われれば、まあ個々の場面において必ずしも問題が起きることは少ないかもしれない。けれども、1つ気をつけておきたいことがある。上下構造は、時として支配につながる。相手を「カワイイ」の中に閉じ込めて、自立を邪魔するようなことをしてしまわないように注意したいものである。

|

« 誰のための日の丸・君が代 | トップページ | 「学力」って… »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/120394/3565954

この記事へのトラックバック一覧です: カワイイの上下構造:

« 誰のための日の丸・君が代 | トップページ | 「学力」って… »