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2006年11月29日 (水)

少子化対策としての雇用政策

心の相談に関わる交流会で、不登校・ひきこもり問題についての話題に触れた。家族の相談をする際、まず母親が相談に訪れることが多い。そして、父親も一緒に出てくるようになると、状況が良い方に動いてくる場合が少なくない。家族として一致して問題に関わることによって家族環境が大きく変わっていくからである。

このことは、逆に言えば、その時点までは家族として心を合わせて問題に取り組めない現実がそれなりにある…という事でもある。理由は簡単である。父親が忙しすぎるのだ。そして、バブルの崩壊と「グローバリズム」の進展の影響もあり、正規労働者の労働環境は悪化しているにも拘らず、家計の収入は悪化し、身を粉にして働かなければ生活がなりたたなくなっている家計が増加している。当然、父親は家族のために割けた筈の時間を削られ、場合によっては母親も家計を支えるために働かなければならない現実が生じる。家族、子どものために心配なく使える絶対的な時間が減少しているのである。

さらに、家計の収入の低下や伸び悩みの問題も大きい。「景気は回復した」と喧伝されているにも関わらず、多くの人々にとってその実感は乏しい。実際、生活保護や就学援助の申請は増加しているらしい。アメリカのワーキング・プア…本当に一生懸命働いても生活が成り立たない人々の増加の問題が報道されるのを時々見かけるが、同様の状況が日本にも生じている。

収入の不安と家族に関わることのできる時間の減少……。バブルの崩壊の中で賃金の上昇が抑制され、雇用の不安定化とパートやアルバイトなどの非正規労働者が増加した。家族のために使えるお金も時間も減少し続けている今の日本の現実……。これでは、安心して子どもを生み育てることは出来ない。

逆に言えば、家計の収入が増加し、家族に関われる時間を増やしていけるような労働環境を実現すれば、安心して子どもを生み、育てる環境が整うことになる。そのために必要なことは、パート・アルバイトも含めた労働者の収入の増加と雇用の安定を政策として進めることが必要である。実際に、オランダは、それに成功しているし、逆にアメリカは今回の選挙結果でも分かるように、今までのワーキング・プアを生み出し続けている政策の転換を国民からの要求と言う形で突きつけられている。

日本はどうか。変更を余儀なくされているアメリカのモデルをそのまま無反省に推し進めようとしているように見受けられるのは私の思い違いだろうか。少子化対策を本気で進めるつもりなら、家族・家計の立て直しこそが最重要課題である。そのためには、大企業中心の政策ではなく、別の道へと舵を切らなければならない。そうした視点から、雇用政策・労働政策を早急に検討しなおすことが必要だろう。

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