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2006年11月27日 (月)

出現…モローの描くサロメ像

ギュスターヴ・モローは、もっとも好きな洋画家である。大学生の頃、県立美術館の「モローと象徴主義の画家たち」展で初めてその作品の実物に出会ったことが私の意識を一変させ、以来、何度となく美術館に通いつめ、いつしか画家や学芸員、版画家、陶芸家といった美術の関係者とも多少なりとも美術の話ができるようになった。

そのきっかけとなった一枚が、以前このblogに書いた「オイディプスとスフィンクス」という作品だが、もちろん、それ以外にも興味深い作品がモローにはある。その1つが、踊るサロメの前に処刑されたヨハネの首が浮いている「出現」という作品である。

もちろん、題材は「聖書」からとっているのだが、その関連作品として「ヘロデ王の前で踊るサロメ」という作品もあり、いずれも1876年にサロンに出品された作品とは異なる未完成のものも残されており、このモチーフに対するモローのこだわりがうかがえる。

描かれているサロメの肉体はふくよかでけっこうエロチックだが、その表情は、以前取り上げたスフィンクスの吸い込まれるような感じはない。サロメの年齢からしても、それほど深い考えや意思がないことが、そのサロメの表情によって描かれているのである。けれども、サロメのしたことは重い。無思慮・無分別であったとしても結果からすれば稀代の悪女…と言うべきだろう。

他にもモローはヘレネやデリダなどの「悪女」を作品の題材に取り上げている。女の持つ魔性(もちろん、男にとってと言う意味だが)は、芸術家の感性に響くものを持ち続けているからなのだろうか。その完成途上で放置された作品も含め、何度となく描かなければならなかったこだわりそのものに強く心をひかれている。

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