« もう1つのジャイアントロボ…地球が静止する日 | トップページ | あらためて…《ぶたないで》 »

2007年2月23日 (金)

育てる場としての職場

職場で人を育てる……という視点が弱くなっている。人を育てるためには手間も金もかかる。終身雇用制の時代には、それを各企業・職場が当然のごとく負担していた。けれども、【競争】を煽り性急に【結果】を重視するあまり、それが弱くなってしまっている。

ある意味では、それは当然の結果である。【自己責任】ということで、今まで企業職場での人材育成から手を引き、競争を煽れば、新人の育成に手を貸せば競争相手を育てることにもつながりかねないことになる。それは技術面だけでなく、人間関係の面でもそうである。相互の関係性が弱まれば、職場環境はさらに悪化する。いっそう、育てる力は弱体化するわけである。

そうした視点から、教員免許更新制度の議論を見てみると、大きな問題点が浮かび上がってくる。教員の力量をあくまでも個人の問題に矮小化しているのである。例えば、職員室での若い先生たちへのサポート環境は明らかに弱体化している。研究会で、何人かの若い教師たちと話をしたことがあるが、ちょっとした技術や指導方法など、明らかに前の世代との間の断絶があるのだ。

ただ、その先生たちは、民間研究会に参加したことでそれを知る機会を得た。当然、その先生たちは行政主導の研修会には参加している。にも関わらず、知らなかった……ということは、そうしたことは伝えられていないという現実があるのだ。とすれば、免許更新にどういう【研修】をするのか、その効果がどの程度期待できるのか、その期間の学校現場でのサポート体制はどうなるのか、といった問題点が浮かび上がってくる。

フランスなどの制度では、民間研究会でもきちんと【研修】として位置づける体制は整っているが、日本の現場では行政主導のもの以外は【研修】として位置づけない事例も少なくない。例えば「学級崩壊」に対しての効果もそれなりに上がっているような有意義な研究発表であっても、「民間」というだけで「年休」を取らなければ参加できないような状況であったりもする。「愛国心」議論でもそうだが、現場を無視して勝手に押し付けるだけでの【研修】では、返って教育現場の混乱や指導能力の低下は避けられないだろう。

【育てる】には、手間もお金も必要である。それを軽視したり、ごまかしたりしていては将来の日本の発展は望めない。職場での【育てる】という役割について、再度、検討する必要があるだろう。

 

人気ブログランキング … よろしければクリックをお願いします。

コメント・TBの主要言語は日本語…でお願いします。spmではないことを確認の上で24時間以内に公開します。

|

« もう1つのジャイアントロボ…地球が静止する日 | トップページ | あらためて…《ぶたないで》 »

コメント

育てるという意義が軽視されてる現状は、確かにありますね。いわば、職場やその職場が属する組織に、育成が丸投げされてきたわけですね。今後はどこかが公的に負担することも、当然検討されねばなりません。今の、雇用保険から拠出する方法では、ある講座を受けると別の講座への拠出は1年間不可能になりますし、生活費まで出るわけではないので、大幅な見直しが必要だと思います。
 そうみると、教員養成の世界についてはある意味特殊ですね。戦前の師範学校という特殊な場での教員養成が、教師にとっても子どもにとっても型にはまった視野狭窄なもので、ついには戦争にまで日本を駆り立ててしまったという反省に基づき、戦後、物事をより客観的にみられる大学で学んだ人に対して、教員の素養をつけて教員とするようになりましたので、大学について「受益者負担」の考え方が強い日本では、授業料を払って教員になる形なんですよね。
 大学における教員養成というのは私は賛成です。物事を客観的にみられない人が、昨今あまりに多いのを目の当たりにしてますから。ただ、それだけでいいかどうかは議論があります。私が大学生になる20年くらい前までは、大学を出れば教師は即戦力となる形でしたが、私が入学した頃に初任者研修制度というものができました(反発も強かったのを覚えています)。今も、もっといろいろやるべきではという声は起きてます。どうせ議論するのなら必要な中身とは何かに徹してほしいです。

投稿: かじか | 2007年2月24日 (土) 14時48分

終身雇用制は、それぞれの職場が「育てる」という役割をそれなりに意識的に担っていた部分がある訳で、現状で言えば、それに対して、どこも責任をとろうとしなくなっている雰囲気が強まってますね。
 
教員免許との関わりで言えば、職員室が若手を育てる力を弱体化させていく時期と、政府・与党~文部省/文部科学省が管理を強化して個々の教員を多忙化の中に追いやっていく時期とが重なってくるのではないかと思われます。つまり、中央行政の責任である可能性がそれなりに高いのです。
 
だから、不適格教員/教員免許の更新制度導入に関しては、政府・与党・文部科学省は、自らの責任をごまかすために教職員組合に対する攻撃を過度に行っている疑いがあります。
 
もちろん、組合の方にも問題は多いですが、政府・与党や企業の方も、きちんと襟を正して自らの責任を明確にする必要があると思います。

投稿: TAC | 2007年2月24日 (土) 22時11分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/120394/5464535

この記事へのトラックバック一覧です: 育てる場としての職場:

» 業務の流れ、定例の場所を知ろう [仕事のマナーと職場のルール大全]
自分の前の工程や後の工程が、どのようになっているのか またそれらの工程は、どこでされているのか、 どんな人たちがしているのか... はたまた、上司がよく口にする 「午後は上にいるから・・・」の上とはどこ? など、 最初のうちは慣れないで戸惑うことばかりでしょう。 自分の職場だけでなく、全社の配置や各部署の席など すこしづつ覚えていくようにしましょう...... [続きを読む]

受信: 2007年3月 1日 (木) 22時09分

« もう1つのジャイアントロボ…地球が静止する日 | トップページ | あらためて…《ぶたないで》 »