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2007年4月28日 (土)

『オニババ化する女たち』を読む

そのショッキングな表題と「女性の身体性を取り戻す」という副題に興味をそそられてこの本を購入したのは2004年の秋のことだった。

 

私の、どこか不純な期待は完全に裏切られたが、それ以上におもしろく、興味ぶかく、そして考えさせる内容だったので、仕事が詰まっている時期であるにも関わらず、この本を読み終わるまで数日とはかからなかった。そして、読み終わった後、妻を大切にして幸せな生活を育もう、そして子どもを産んでもらう時には、可能であれば病院ではなく助産婦さんに頼みたいものだ……などという訳のわからない結論に達してしまった。

 

そうした意味では、期待を裏切る非常におもしろい1冊であり、この本に出会えたことを心から感謝したいと思う。

 

詳しい内容を要約するつもりはないし、それはぜひ自分自身で確かめてもらった方が良いと思うが、これを読みながら感じたり考えたりしたことを述べてみよう。

 

この本では女性の「身体性」について生理や妊娠やセックス、出産などを手がかりにしながら作者の国際協力活動の体験を通して得られた知識や実感を交えて色々な視点から記述してある。

 

そうした「女性の身体性」については女でも両性具有でもない以上、実際に体験し実感する事は不可能だが、「身体性」については、それなりに自分の体験からも何となく頷ける部分がある。

 

実は、私のマッサージには隠れファンがけっこういて、元妻はもちろん、行きつけの飲み屋などでも時々マッサージをする羽目になることが少なからずある。その際に、指先で身体に触れていると、硬くなっていたり熱を持っていたりするところがある。そこは、大抵悪いところなので、「今日はここが悪いね」などと言いながらソフトにその辺りをほぐしていく。

 

ある関西で活躍している友人のベーシストなどは「マッサージは力まかせみたいなとこが嫌いやで行かんけど、拓さんにしてもらうのは気持ちええわ」などと言いながら商売道具の肩を揉ませる。自分自身についてでも偏頭痛や歯痛の時にちょっと熱を持った部分を押さえることで楽になったりする。その際のポイントは接している指先の触感であろう。微妙な温度や硬さの違いが「異常」を教えてくれるのである。

 

この本で述べられているいくつかの例、例えば月経血のコントロール能力なども、かつての女性が自らの身体についての鋭い感覚や自覚によって支えられたものであり、そうした身体感覚を日常生活や地域社会、文化的な面が包み込み大切にしていたことを示してくれている。もちろん、過去の制度や文化には影の部分もあった訳だが、現代の「グローバル化資本主義経済」のように経済効率の観点だけで全てを考え、制度として「女性の身体性」を侵害していくといったような現実はなかった。

 

なぜ、生理中でも通常と同じように働かなければならないのか。少子化の不安を煽りながら、子どもを産み育てることへの支援が遅々として進まないのはなぜなのか。病院での出産によって会陰部切開が増加したのは身体への侵略ではないのか…。

 

女性の人権を口にしても、そうした部分での現実的な後退は、「グローバル化資本主義」の矛盾と虚偽性・陰湿性を浮き上がらせる。「グローバル化」は、その名のもとに様々な「地域」と独自の「風俗・文化」を侵略し、【効率性】によって破壊していったのである。

 

身体性への着目は、自然や人間性を大切にすることにもつながっていく。普通に働き、普通に身体を大切にして、普通に休んで、それでいて普通に暮らしていける文化を私たちは地球のいたるところで持っていたはずである。贅沢はいらない。それを取り戻したいと私は思う。               〔完〕

      

【TEXT】

 『オニババ化する女たち』…女性の身体性を取り戻す

   三砂ちづる 作  2004年  光文社新書

 

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