« 荘園とは何か…成立の事情 | トップページ | 荘園と武士…地頭の持つ意味 »

2007年4月18日 (水)

荘園の発展…自墾から寄進へ

「悪貨は良貨を駆逐する」という諺があるが、荘園も、本来の意味からすれば律令国家のすべてが公地という建前の中で成立する私有地だから、悪貨の類である。だが、時を重ねる中で、公地そのものも荘園化していくことになる。荘園の増加の中で、律令制の徴税システム(祖・庸・調・雑徭・兵役)が破綻してしまうからである。

なぜ、そうなってしまうのか。貴族や寺社が政府に働きかけて、不輸の権・不入の権…つまり納税をしなくてすむ権利と官吏の荘園への立ち入りを拒否する権利を獲得してしまったからである。

墾田永年私財の法が施行されても、当初はある程度は税も納めなければならなかったし、もちろん、官吏は必要に応じて荘園に立ち入ることも可能であった。その意味では、地方の有力者も、有力貴族や寺社(東大寺や春日大社などの大きな寺院や神社)も同じ条件だったのである。だから、荘園を持つには、自らが荒地を開墾する必要があった。荘園の所有者が自らの手で開拓した荘園を自墾系荘園と呼ぶ。当初は、それが荘園の主流であった。

ところが、貴族や寺社はその力を背景に、自分達の荘園では納税はしないし官吏の立ち入りも拒否できる特権を手に入れたのに対し、地方の有力者の荘園は税を徴収され役人も立ち入る…という不平等が生じてくる。そこで、地方の有力者は、大貴族や寺社などの有力者に自分たちが開墾した荘園を寄付し、代わりにその荘園の管理者に任命してもらう…という形を取るようになる。これが寄進地系荘園である。

地方の有力者にしてみれば、国に税を払い役人に調べられる形よりも、有力者に一定の年貢を納めて、国の税や役人の立ち入りを拒否する方が有利になったからである。その結果、寄進地系荘園はどんどん増加し、律令制の公地公民は破綻してしまうのである。

特権を持つ者が、それを悪用して国家のシステムを破壊していく。何か、現代にもつながるような構図である。

|

« 荘園とは何か…成立の事情 | トップページ | 荘園と武士…地頭の持つ意味 »

コメント

以前にも日本史に疎いとTACさんに打ち明けたら、荘園のことから勉強したらよいとアドバイス頂きましたが、今になって思えば、学生のころ、荘園のあたりから日本史に無関心になったような記憶もあります。それだけ複雑だったってことでしょう。今回こちらのブログでお勉強させていただくことに致します。少しは旦那の日本史に関する質問に答えられるようになりたいし。

投稿: アサヒ | 2007年4月19日 (木) 00時03分

厳密には、もっと細かいところがある訳ですが、ごく大雑把にまとめてみると、こんな感じかな…というノリで書いている文章です。

こうした荘園の存在が、武士を生みます。律令制の解体の流れとともに、軍団が廃止されていき、個々に武装する必要が出てくるからです。

幕府も、荘園がなければ生まれなかったかもしれないのです。

投稿: TAC | 2007年4月19日 (木) 00時46分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/120394/6136191

この記事へのトラックバック一覧です: 荘園の発展…自墾から寄進へ:

» 印紙税はしっかり調べよう! [印紙税はしっかり調べよう!]
印紙税について説明できますか?一緒に学んでいきましょう[納税] [続きを読む]

受信: 2007年4月19日 (木) 07時27分

» 贈与税もしっかり調べよう! [贈与税もしっかり調べよう!]
身近な税金についてちゃんと知っておこうと思い、情報を集めました。[権利] [続きを読む]

受信: 2007年4月19日 (木) 13時10分

« 荘園とは何か…成立の事情 | トップページ | 荘園と武士…地頭の持つ意味 »