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2007年5月 9日 (水)

風を見る人…人の強さとは?

『生徒諸君!』を描いている庄司陽子の十数年前の作品に『風を見る人』という一冊の短いマンガがある。小品と言えば小品なのだが、読み応えのある内容の濃い作品である。

主人公となるのは透と美佐緒という愛し合う1組のカップル。だが、美佐緒が透の目の前で交通事故に遭い、再び意識を取り戻したとき、《美佐緒》の心は50年前に肺炎で亡くなった《久野周子》という17歳の女性であり、後に《美佐緒》は妊娠していることも分かってくる。《美佐緒》を失った透と美佐緒の家族の苦しみや悲しみ、そして混乱……。そして《周子》の混乱と不安……。そして、一方の当事者でありながらも、《周子》と共に行動したことによって、少しずつ【現実】を受け入れようと努力を始める透……。そして、透や周子、美佐緒の両親の決断は……。

簡単に受け入れられないような【現実】はどのような人生でも、多かれ少なかれ存在するだろう。そして、そのような時は誰もが混乱し、悩み、苦しむ。けれども、【現実】を受け入れ、そこから出発して努力を続けていけば、それなりに道は開けるものである。残念ながら、その勇気がなく【現実】から目を逸らしたり、逃げたりしていれば、苦しみが続いたり、その場はどうにかなっても後でより大きな苦しみや悲しみに直面してしまう。その辺りの分岐点は【現実】を受け入れ、勇気を持って決断し、努力を続けられるか否かにかかってくるのだろう。

このマンガは10年以上も前の、わずか1冊で終わっている単行本である。そして、それ程世に知られた作品…という訳でもない。それでも、深みのある優れた作品であり、読み応えのある1冊である。

 

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コメント

美佐緒を囲む周囲の人達の混乱もさることながら、50年前の死亡から転生した周子の困惑がどのようなものなのか興味あるところです。輪廻とでも言いましょうか、うちのかみさんはこれを信じきっており、これを信じない僕とは良く意見が衝突します^^;
まんが喫茶ならありそうですね。今度探して読んでみます。

投稿: うるとらの | 2007年5月 9日 (水) 21時42分

下手な小説よりも深みのあるマンガで講談社からでていました。一応ISBNコードは4-06-317543-6になってます。「中年男が、何でそんなマンガ知ってるんや?」というツッコミは不可です(笑)。

もちろん、周子も転生しようとして転生したわけではなく、戦争前で肺炎で死んだということになっていて、京都の実家では年老いた妹が生きており、そこを訪ねたことで記憶を持ったまま転生してしまったという事実が確認できる…という展開になってます。肉体…外見は、愛した美佐緒、そして妊娠している子どもも、確かに透と美佐緒の子だけれど、記憶/心は戦前を生き、17歳で死んだ少女…男としても、透の立場にたったらどうするのか……考えさせられます。

投稿: TAC | 2007年5月10日 (木) 07時03分

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