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2007年6月 4日 (月)

労働問題と関税の再考

自由貿易体制の維持・発展のためにWTOが作られ、議論が続いている。確かに、第一次世界大戦や第二次世界大戦の歴史に学べば、過度の保護貿易が国際対立を招き、それが世界大戦の大きな原因の1つとなったということになろう。

しかし、必ずしも関税が「悪」である訳ではない。日本史をひも解けば、江戸時代の開国の際に関税自主権を得られなかったことから外国製品の流入が当時の経済を混乱させ、それが幕府崩壊の遠因の1つとなった。

安い外国製品の流入は国内の同種の製造業を圧迫し、労働者の賃金を下げ、労働力の大量移動をもたらす。多くの人々が生活のために故郷を捨てざるを得なくなるのである。江戸時代の日本は、農村から都市への流入だけで済んだが、国際化の進む現在では国を越えて人々は移動する。国際的な移住労働者の爆発的な増加は、流出国および流入国において様々なまさつや問題を生じさせる。

移住先での文化摩擦や差別などの人権侵害、移住国の賃金の低下や労働条件の悪化、流出国での労働力不足や技術者不足による産業の伸び悩みや衰退、そして世界レベルにおける貧富の差の拡大と環境破壊の拡散……。労働力の大量の移動はそれぞれの社会のバランスを崩し、多くの人々を不幸にする。

そうした意味において、国内労働者の保護、特に生活を維持できるだけの賃金と家庭時間の保障は国内消費を守ることにもつながっていく。そのための手段の一つとして関税を使うことは必ずしも悪いことではない。自由貿易にも破壊的な面がある以上、関税を罪悪視せずに上手に使っていく知恵が求められるのではないだろうか。

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コメント

すこし今回の記事から話が外れてしまいそうですが、「生活を維持できるだけの賃金」という点で、私は長く海外にいて最近日本にもどり、この前初めて15年ぶりに日本で派遣のお仕事を2ヶ月させてもらいました。その派遣先で、30代後半の子持ちの男性が、ボーナスもすべて含めて600万に満たないので残業や休日出勤で薄給を補っているのだというのを聞いて唖然としました。日本の賃金がここまで低下しているのには驚きです。これじゃぁ父親が子供と過ごす時間などほとんど皆無で、家庭が崩壊したって仕方がありませんね。おまけに身を粉にして働いている間に積み立てた年金は、おろかなミスで支払われなかったりと、もうすこし政府にしっかりしてもらって、日本社会の改善を目指して欲しいものです。

投稿: アサヒ | 2007年6月 5日 (火) 06時20分

移住労働者も、自分の故郷で生活を維持できるだけの仕事があれば、故郷に留まる人はずっと多いでしょう。暮らせないから、故郷を離れる訳ですが、その暮らせなくなる理由の1つに「自由貿易体制」の持つ問題点に目を向けず、輸出先の産業を破壊し、地元の賃金を低下させても「利潤」さえあがれば良い…とする多国籍企業のワガママがありはしないでしょうか? 【資本主義】や【自由貿易体制】を考える時にも、大きな視野で検討していきたいものです。

投稿: TAC | 2007年6月 5日 (火) 22時47分

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