« 社会保険庁の責任、首相の責任 | トップページ | 山崎の味わい、キースの味わい »

2007年6月11日 (月)

《銀河英雄伝説》から戦争を考える

久しぶりにアニメ版《銀河英雄伝説》を最初から見ている。もちろん、DVDで外伝も合わせると全体で48巻にもなる大作なので、5月下旬から見始めて未だ半ばという進み具合である。仕事の合間をぬって見ているので、1日に1枚(4話…およそ2時間弱)見られれば良い方であり、ペースとしては良い方であろう。

この《銀河英雄伝説》は以前にも書いたように「民主政治」を考えるきっかけとなるエピソードに満ちているが、同時に、軍や戦争を考えるのにも興味深いエピソードも多い。主人公は、銀河帝国のローエングラム侯ラインハルト、そしてそのライバルとして彼の前に現れる自由惑星同盟のヤン・ウェンリー。

当初、銀河帝国はゴールデンバーム王朝の皇帝と貴族に支配されていたが、実戦で結果を出し続けて軍の中で昇進し、常勝の英雄として若くして元帥にまで登りつめていくラインハルトによって、ゴールデンバーム王朝は倒される。ラインハルトは、貴族の特権を廃止して平民の自由と権利を養護する政策を次々と進める。また、戦いとなればゴールデンバーム王朝の皇帝や貴族とは異なり、安全な場所に隠れて兵だけを危険にさらすのではなく、自ら戦艦に乗り前線に立って戦う。それゆえに国民や兵士たちから圧倒的な支持を受けている。

一方のヤン・ウェンリーも、軍師・参謀としての優れた才能ゆえに実際に戦闘指揮をした戦いでは負けたことが無い不敗の英雄である。敗戦の時はしんがりを務めて、より多くの見方を撤退させるのに成功するし、敵軍の、あるいは敵将の作戦の間隙をぬって相手を出し抜き、味方を勝利へと導く。だが、腐敗した自由惑星同盟の政治家(政治屋)たちは、間違った選択を重ね続けて戦争を継続し、国を滅亡へと導いてしまう。シビリアン・コントロールが裏目に出て、ヤンをはじめとする現実的な軍幹部の声を押しつぶして戦争を煽り、首都星ハイネセンを攻略されて破れてしまうのである。

ラインハルトはもちろん、ヤンも常に前線に立って戦うし、戦争というものを良く知っているからこそ無思慮な戦いはしない。逆に言えば、ゴールデンバーム王朝の貴族たちや自由惑星同盟の政治家など自らも家族も前線に立たない連中が戦争を煽り、戦争を続け、国を滅ぼしてしまうのである。

日露戦争に際し、日本陸軍を指揮した乃木大将は、その戦いの中で2人の息子を失っている。だが、自衛隊の海外派兵を決定した総理や閣僚、与党議員の中で、自衛隊に家族がいて、その隊員が「非戦闘地域」に派遣されている……という話は寡聞にして聞かない。「愛国心」を口にするなら、まず自ら進んで範を示すべきだと思うし、そうした行動を取れば多くの人々がそれなりに納得するだろう。ヤン・ウェンリーは、戦争を煽る国防委員長に対し、自分が安全な場所にいて戦争を煽り人々を戦場に送るような人間が卑劣で卑怯者であることを正面から指摘している。まったく、同感である。

 

人気ブログランキング … よろしければクリックをお願いします。

コメント・TBの主要言語は日本語…でお願いします。spmではないことを確認の上で24時間以内に公開します。

|

« 社会保険庁の責任、首相の責任 | トップページ | 山崎の味わい、キースの味わい »

コメント

銀河英雄伝説はアメリカでは嫌われています。
なんと驚くことに10年連続で子供に読ませたくない本第一位にランクインしています。

投稿: 元・S | 2012年4月 1日 (日) 20時18分

アメリカでもウォール街のデモが示すように「for the people」の条件は満たされていませんから、リンカーンの言った民主主義国家と言えるかどうか怪しくなってきています。そういうことも関係しているのかもしれませんね。

投稿: TAC | 2012年4月 4日 (水) 22時45分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/120394/6752202

この記事へのトラックバック一覧です: 《銀河英雄伝説》から戦争を考える:

« 社会保険庁の責任、首相の責任 | トップページ | 山崎の味わい、キースの味わい »