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2007年8月14日 (火)

ビルマの竪琴…鎮魂と平和への願い

8月になるとどうしても見たくなる映画がある。「ビルマの竪琴」である。市川監督が2度映画化しているが、私にとってなじみの深いものは水島上等兵を中井貴一が演じたものである。もちろん、原作は小学校の頃から読んでいたが、イギリス民謡を効果的に使った原作の感動を映画はそのまま伝えてくれている。

「埴生の宿」「庭の千草」「故郷の空」「蛍の光」など、明治や大正の頃から日本人に愛唱されてきたイギリス民謡は多い。敵味方の枠を超えてそうしたイギリス民謡を歌うことで話し合いが可能となり、停戦の情報を知って石坂浩二演じる隊長が降伏を決断する前半の山場は本当に感動的である。そこで一心に「埴生の宿」を伴奏する水島の姿はその歌と共に強く心に残っている。

だが、物語はそれで終わらない。三角山に立てこもって抵抗を続ける日本軍部隊の説得を依頼された隊長は、その任を果たすべく水島を三角山に送る。だが、部隊の指揮官は降伏を受け入れず、わずかの生存者を残して部隊は壊滅する。たまたま死を免れた水島であったが、三角山の死者たちをはじめ、多くの日本兵の亡骸が放置されている現実と、現地の人々やイギリス人たちが日本人の死者をも弔おうとしている姿を目の当たりにして戦争で亡くなり野ざらしになっている多くの日本軍兵士の弔いと鎮魂のためにビルマに残ることを決意する。

それを知らない、部隊の戦友たちの「一緒に日本へ帰ろう」という温かな思い。それが、歌となって水島に届いた時、水島は思わず竪琴を手にして演奏を始めるのであった。だが、水島との再会に喜ぶ戦友たちの前で、水島は「仰げば尊し」の演奏を始める。戦友たちの思いを胸に、水島は、その曲によって彼らに別れを告げるのだった。

戦争さえなければ、水島たちはビルマに来る事はなかったろう。いや、水島ばかりではない。三角山で戦死した兵士たちも、ビルマの森や川岸で亡くなった兵士たちも、戦争さえなければ、そしてインパール作戦など軍上層部の間違った作戦計画さえなければ、命を落とすことはなかったのである。この物語は「史実」ではないのだが、アジア各地にうち捨てられた多くの日本人兵士の屍の存在はまぎれもない事実である。そして、その兵士たち以上に多くの一般の人々が敵味方を問わず命を落としている。

このような悲劇をくり返さないように、日本が行うべきこと、行わなければならないことがある。それは、決して戦いを支援するために自衛隊を海外に送ることではない。それを改めて考えるために毎年「ビルマの竪琴」を見たくなる。風化させてはならない「歴史」が、二本にはある。「ビルマの竪琴」は、それを改めて確認させてくれる映画である。

 

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コメント

この前両親がここに遊びに来たとき、時期もやっぱり終戦記念日で、時代劇とともに、このような戦争に関してフィルムのDVDを探してきて、見せて上げようと思っていたのです。父は戦争に行き、そして戦った人だからです。結局見せて上げずじまいでした。1年に1度だけ、この時期父がはなす昔話です。いつまでもこれを未来の人に語り継ぐ必要がありますよね。こうやって段々日本のまた戦争への参加が危うくなって来た現代。大切にしないといけないフィルムの1つだと思います。

投稿: アサヒ | 2007年8月15日 (水) 17時42分

このような悲惨な歴史が、一部権力者の思惑で繰り返されてはなりません。小沢代表が、テロ特別措置法延長に対しアメリカに「ノー」を突きつけましたが、ジェスチャーに終わらず、はたしてこの姿勢をつらぬき通せるのでしょうか。
大事な時期にさしかかっていますね。

投稿: ベリー | 2007年8月17日 (金) 18時04分

ようやく、夏の全国研究会も終わり、一段落といったところです。ベリーさん、お越し頂きありがとうございます。
ゼロ戦とか雷電とか飛燕とか疾風とか、戦艦大和、武蔵などのプラモデルは好きで色々作っていましたが、だからといって戦争は賛美できません。当然のことですね。戦争とは、一部の金持ちの欲望が引き起こしているのではないかと感じることがあります。一般市民の犠牲を大量に出して「解放」はありえません。テロ国家の大統領のポチ首相にはさっさと辞めてもらいたいものです。

投稿: TAC | 2007年8月19日 (日) 22時00分

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