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2007年10月17日 (水)

冠位12階と足高の制

改革の時代において、人材の登用がその成否を握る鍵となる。実際、日本の歴史を紐解いてみても、改革の時代において人材の登用に苦心した例はそれなりに見受けられる。例えば、聖徳太子の冠位12階の制定というのも、氏姓制度の只中にあって人材の登用を図ったものである。

氏姓制度の時代において、どこの誰を親に持つかによってその仕事はある程度決まっていた。豪族のステータスと身分によって能力がなくてもある程度の地位につくことは可能だったのである。だが、隋が勃興し、大和朝廷の利害に深く関わる朝鮮半島への中国の圧迫は強まっており、場合によっては日本も拡大を続ける中国に飲み込まれる危険があった。そのような状況の中で独立を確保するには、豪族の家柄などに寄らない人材登用の道を作ることが必要であった。冠位12階は、このような情勢の中で作られた人材登用のシステムなのである。

時代は下って江戸時代の半ば、8代将軍となった吉宗は幕政の建て直しに着手した。享保の改革である。だが、江戸時代と言えば強固な身分制の社会であり、幕府の役職もその家柄によってある程度決まっていた。しかし、人材登用のシステムを作らなければ改革の成功はない。そこで、必要な能力を持つ者が役職についている間は、その役職には届かないような家柄の出身者であっても石高を加えて相応しい家柄にする、という制度を作った。これが足高の制である。足高の制により本来は近畿地方の狭い地域の役人に過ぎなかった人物が江戸町奉行となり、最後には勘定奉行にまで出世した。名奉行として知られる大岡越前である。彼は、言わば地方都市の市長から東京都知事を経て財務大臣にまでなったということであり、身分の壁が厚かった江戸時代においては考えられないような出世だったと言えよう。

格差社会が問題になりつつある現在、本当の意味で改革に必要な人材をきちんと登用できるようなシステムは存在しているだろうか。ある意味では、業績が好調であるにも関わらず労働者の賃金を上げられない経営陣は、本当にその収入に見合うだけの能力を持っているかどうか非常に疑わしい。自らの目先の利益だけを追って労働者や下請けの会社を圧迫し続けていれば、人材の能力の開花を阻害し、やがては潰してしまうことにもなりかねない。そしてそれは、長期的にはその企業の未来だけでなく社会や国の未来を閉ざしてしまうことにもつながりかねない。

人材の発掘と登用……。今の日本にも、切実な課題である。

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