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2008年1月27日 (日)

砂塵の彼方…弱者は戦争へ

「冬の稲妻」が入っているアリスⅥのアルバムの3曲目に「砂塵の彼方」という歌がある。作詞は谷村新司、作曲は堀内孝雄、学生時代は時々ギターを片手に1人で、あるいはサークルの仲間たちと歌っていた歌である。

 

外人部隊の若い兵士は いつも夕陽に呼びかけていた

故郷に残してきた人に 自分のことは忘れてくれと

不幸を求めるわけじゃないけど 幸福を望んじゃいけない時がある

いつも時代は若者の 夢をこわして流れてゆく

もうすぐ私も死ぬだろう それは祖国のためにではなく

思い出だけを守るために 愛する人を守るために

不幸を求めるわけじゃないけど 幸福を望んじゃいけない時がある

私は明日を信じない 今日がなければ明日も来ない

 

ここに描かれたシーンに、アメリカの貧困に苦しむ若者たちの姿が重なる。《テロとの戦い》でイラクやアフガニスタンの戦場に送られている若い兵士たちは、産業の空洞化によって職がなかったり、教育予算の切捨てのために高騰する学費の返還や大学の卒業のために兵役についたり、国籍や永住権の取得のために兵役についたりするような貧困層がほとんどである。こうした現実は、マイケル・ムーアの映画【華氏911】や堤未果の『ルポ    貧困大国アメリカ』(岩波新書1112)などに詳しく描かれている。

ブッシュ政権の遂行する《テロとの戦い》だが、それを推進し、あるいは積極的に協力しようとする人々は、なぜか危険な戦地には足を運ばない。【華氏911】でも、ブッシュ一族や上院議員の家族が誰一人として軍人として中東の土を踏んでいないという事実がマイケル・ムーアのインタビューによって暴かれていく。それとは逆に、戦地に赴く兵士たちは、国策として削減された福祉予算や医療費・教育予算の削減によって、多額の借金を背負い、生存権を奪われて、戦地へ赴く以外の選択肢を奪われている。

軍需産業や多国籍企業のみが肥え太り、国民が生活を破壊され、未来を奪われていく現実がそこにはある。少し前にアメリカ軍兵士の捕虜や現地人への虐待がニュースになったが、そのような形で痛めつけられ自ら人権侵害を受けた人々が、さらに弱い立場の人々を虐待し人権を侵害する行動に走ってしまう…という例は、歴史を紐解けば、今までも世界各地で何度も繰り返されたものである。

それを考えれば、経済格差の放置は自国のみならず世界全体を破壊し不幸の種を撒き散らすことに直結していることが分かる。「民営化」という名の下に削ったり売り渡したりしてはいけないものがある…と、堤未果は警告する。小泉改革、安倍政権そして福田政権と進めてきた「改革」の成果が弱者の切捨て、セーフティー・ネットの縮小、そして格差の拡大という形で「実」を結んだ現実が日本にもある。この流れを放置した時、日本も、国民のためではなく企業の利益のために戦争をする国、社会的弱者が生存権を奪われて戦争に追い込まれていく国になってしまう。

日本を、若者の夢を壊して、一部のものだけが肥え太る国にしてしまってはいけない。

 

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