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2008年2月12日 (火)

リンカーンの誕生日に

2月12日はリンカーンの誕生日である。もちろん、南北戦争に勝ち、奴隷解放宣言を出したリンカーン大統領のことである。ゲティスバーグの演説の中にある「人民の人民による人民のための政治」というのは民主政治を簡潔に説明している有名なフレーズである。

さて、リンカーンの指導した南北戦争だが、実は、経済的には、自由貿易を取るか保護貿易を取るか…という選択をめぐっての内乱という一面も持っている。奴隷制による綿花の栽培によって原料を輸出する南部にとっては自由貿易体制の方が利益を得るのには都合が良かったのだが、イギリスに遅れて産業革命が進む北部にとっては自由貿易体制は育ちかけている自国の産業の育成にはマイナスであった。したがって、北部の工業地帯は、輸入製品に関税をかけて自国の産業の育成を図ると同時に、奴隷から解放された黒人を労働者として雇い入れる方が良かったのである。

ただ、そうした思惑が北部の側にあったとしても、人権の歴史から見た時の奴隷解放宣言の重要性は色あせるものではない。人は誰もが平等であり、その人権は人種や民族の違いがあっても大切にされなければならない。それは、民主政治を行う国々には絶対に不可欠の条件である。

けれども、自由貿易体制が無条件に良い事なのか…という点については、南北戦争の歴史を振り返ってみれば、必ずしも無条件に良いとは言い切れない部分もある。もちろん、世界恐慌後の保護貿易/ブロック経済が第2次世界大戦の重要な原因の1つであったという事実もあるのだが、格差の拡大による生活の破壊や生存権の圧迫を目にすると、関税の全廃は、また別の新たな問題を生み出す可能性も持っている。

一部の企業のために…ではなく世界の普通に暮らしている人々の生活を守るために、環境への負荷や移動のコストの大きいシステムの再考は必要ではないだろうか。リンカーンの誕生日に、ふと、そんなことを考えてしまった。

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