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2008年4月 6日 (日)

わが青春のアルカディア…戦場まんがシリーズより

松本零士の戦場まんがシリーズの4巻目(昭和51年・小学館)の冒頭に、本のタイトルにもなっている「わが青春のアルカディア」というマンガが収録されている。主人公はドイツ空軍のファントム・F・ハーロックⅡ大尉。愛機メッサーシュミットの操縦桿を握り、ドイツ帝国崩壊の日まで不敗のまま敵機を撃墜し続けていた。

その最後の出撃の前にハーロック大尉は、1人の男に出会う。男の名前は台場元、技術交換で日本から来た照準器を開発する技術者だった。2人とも祖国の敗戦を認識していたが、今、自分の果たすべき役割に全力を尽くす誇り高き男たちだった。

味方の交代を援護する為の最後の出撃に際して、ハーロックはメッサーシュミットの胴体部に台場を乗せることになる。上空からの敵機の攻撃で離陸直後に被弾したハーロックのメッサーシュミット。その際に切れかけた昇降舵のワイヤーを台場は自らの身体を使ってつなぐ。ガソリンが尽きてスイス国境の近くに胴体着陸をするメッサーシュミット。そこで、ハーロックは台場が切れかけたワイヤーの代わりになっていてくれたことを知る。その行為に対して、ハーロックは常に戦場を共にしてきた愛機の照準器を台場に託す。生き延びたら再会することを約束して……。

時間的にはわずかでも、決定的な出会いというものは確かにある。濃厚なひとときを共有した信頼に足る相手は、どれ程時と距離を隔てても、親友として深く心に住み続ける。ハーロック大尉と台場の関係はそのようなものだったのだろう。日常的にはそれ程多くない出会いかもしれないが、1度会っただけで相手を信じられる出会いというのも確かにある。そして、その相手の存在が、心の中で輝き続け、自分の生を励まし、力を与えてくれるのだ。

このエピソードは、後にキャプテン・ハーロックの海賊戦艦アルカディア号誕生のエピソードを描いた映画「わが青春のアルカディア」にもそのまま挿入される。もちろん、台場はアルカディア号の設計者大山トチローの祖先ということになり、ハーロック大尉もキャプテン・ハーロックの祖先ということで、2人のつながりの深さを語る為のエピソードとしての挿入になるのだが。

松本零士が描く代表的なキャラクターであるキャプテン・ハーロックは非常に魅力的な男だが、その魅力の1つに友情の厚さがある。ハーロックとトチローの友情は、男として胸を熱くする多くのエピソードに彩られている。このような友情はそれ程多くはないかもしれないが、親友の大切さを感じさせてくれる作品である。

 

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