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2008年10月28日 (火)

シンポジウムを終えて

10月26日に三重大学で開催された不登校のシンポジウムにパネラーの1人として参加した。親の会の世話人を代表しての参加であったが、エンカウンター・グループとしての親の会は、ある意味では、公的機関による設立は難しい(本人や親が学校などに不信感を持っていたりすると、逆に公的機関が設立すると不信を覚える場合がある)ような部分もある。民間グループとしての「距離」は必要なのだが、一方で、存在を知っていただき、お互いに協力しあえれば、問題に対処していく際に大きな力となる。そうした意味において、「三重県・考える会」という親の会の存在を県内外の関係者に知っていただく機会を得たことは、これからの活動にプラスになると感謝している。

さて、今回は「不登校シンポジウム」ということで、ひきこもりの問題や就労の問題については触れられることはなかった。けれども、それらが不登校問題と地続きの大変深刻な問題であることも確かであり、加えて、LDやADHD、アスペルガーなどの特別支援教育と不登校問題についても、まったく触れることができなかったことは残念だった。この問題については、不登校とのかかわりも含め、医療機関との連携の必要性や、とりあえず「診断」をしてもらうと「療育」のルートに乗せやすくなり、それによる接し方の変化によって不登校へといたらずにすむ場合が出てくることもあるので、その辺りも、今後の課題となるだろう。

ところで、指定討論について、4つのうち3つも指名していただいたが、時間の関係で急いで1つを答えることしかできなかったので、この場で3つの答えを述べておこう。

1)不登校、引きこもりの方と向き合った時、元気を出して笑顔を見せてもらうためのコツは何でしょうか?

・あれば、ぜひこちらが教えていただきたいところですが、好きなことや得意なこと、興味を持っていることからアクセスを試みるということが大切だと思っています。そこから、様々な「表現」(言葉に限定しない)を引き出し、それを受け止めながら、みんなで可能性を探っていくことでしょう。ただ、「好きなことがない」といった場合はいっそうやっかいです。その場合は、詩などの文学や音楽、美術表現や手仕事、作業など、こちらがある程度一緒に関われて表現を受け止められるような「場」に誘ってみるような手立てをとって見るのも1つの方法だと思います。ただ、その際には「私が好きだから一緒にどう?」というスタンスが大切で、「あなたのためだから」という【欲】を出してやるのはNGでしょうね。

2)家庭教育力を向上させるためには、どうしたら良いでしょうか。良いアイディアをお示し下さい。

・企業の都合最優先の悪質な労働環境を是正し、サービス残業には厳罰を処し、6時以降の残業は3倍の時給を保障するなどして社会システムとして家族と過ごす時間を確保する事が大切でしょう。それと、一般の「先進国」並みの20人学級を実現しOECD諸国のトップクラス並みの教育予算を使えば、普通に家庭生活を営むだけで十分だと思います。が、今の現実の中で可能な事は、できる範囲で、子どもたちと一緒に過ごす時間を少しでも増やし、理解が可能かどうかは別として、子どもたちが好きなもの(マンガでもゲームでも音楽でも)にも接してみて、感覚や感性の波長を合わす努力をしてみると同時に、親自身も大人として自立/成熟していくことが大切だと思います。

4)学校のない教育制度をご提案下さい。

・これには反対します。日本国憲法の子どもの権利としての【義務】教育と改悪前の教育基本法の精神を実現すれば、「学校以外の選択肢であっても、社会の中で人間として自立し生活する力を身に付けられればO.K.とする」という複数のルートを認めて良い…という
ことになるでしょうし、学校をなくしてしまうことは、必ずしも良いことばかりとは思えませんので。それに、日本国憲法の精神や子どもの権利条約の精神とかけ離れている今の日本の学校制度を是正するだけで、不登校やひきこもりの問題はかなり改善すると思われるからです。とりあえず、十分な予算と人員を配した特別支援教育の充実、20人学級の実現だけでも、けっこう効果はあがるはずです。唯一、学力テストを拒否した犬山市教育委員会は、市独自で予算をつけて、30人学級を完全実施しそれなりの効果をあげていました。ただ、現行の一般学校とは別のルートとして、夜間中学のような形やフリースクールのような形は柔軟に認めていく必要はあるでしょうし、中学卒業資格認定試験や大検などの制度を改変・充実させて、独自の判断で学習し自立していける複数のルートを保障することも必要だと思います。

問題からして、時間的には十分とはいえなかったが、それでも意味のあるシンポジウムだったと思う。

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コメント

大変参考になりました。
N市に住んでいますので、今度、TACさんが講演される時には、お知らせ願います。是非一度じかにお話を聞きたいです。


投稿: miki.lucy | 2008年11月 2日 (日) 07時02分

お元気でお過ごしでしょうか? 講演やシンポジウムの予定や講演などの原稿、あるいは三重県の不登校やひきこもりの親の会などの例会案内といったものは【blogぼちぼちいこか】 http://bochibochitac.noblog.net/ の方にいつもupしていますので、そちらをのぞいてみて下さい。ここのサイドバーからも跳べます。

三重の親の会の例会はたいていアスト津で行われます。近鉄/JR津駅東口の横のビルですので、時々、N市から参加される方もいらっしゃいます。

投稿: TAC | 2008年11月 2日 (日) 07時34分

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