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2008年10月 6日 (月)

ビジョンのない政治家たち

自民党による総選挙引き伸ばしが続いている。麻生政権が誕生したが、わずか5日で辞任する大臣が出るなど、自分たちが考えていたほどには支持率が上がらず、自民党にとって苦しい状況にあまり変化はないにも関わらず、内外の金融危機や経済状況の悪化などマイナスの要因もあちこちから噴出しているため、目先の党利を考えて解散できないのである。

だが、「党利」という点から考えても、目先のことにこだわっていると未来を失いかねない危機にあることに自民党の政治家たちは気付いているのだろうか。私が自民党の指導者グループにいるならば、この際、「党利」のための「解散」も党の将来を考えれば重要な選択肢となる。国際情勢や経済状況を見れば、野党が政権を取ったとしても劇的に状況を改善できる環境にはないことは分かる。難しい情勢の中で敢えて下野し、変わって政権を取った連中に失敗をさせて返り咲く方向を目指した方が党の再生には近道だからである。しかも、野党となるシンドイ状況の中で、失言によってわずか一週間も持たずに大臣を辞任しなければならなくなるような無能な政治家を淘汰し、新しい能力を持ったやる気のある人材を補充できる期間となるからである。逆に、政権に無理をして居座り続けると次々にボロが出てくる状況だし、この上また失策を犯せば、さらに国民からの怒りが燃え上がり、立ち直れないほど信用を失う危険性も出てくる。そうしたリスクに麻生首相は気付いているのだろうか。ニュースから聞こえてくる言動からすれば、とてもそうは見えない。所信表明演説でもビジョンを示せなかったのは、ビジョンを描くための根本的な能力の欠如かもしれない。それは、麻生首相にとってはもちろん自民党にとっても不幸であるが、国民にとってはより大きな不幸である。

バブル崩壊以降の日本の対応がいつも後手に回っているのは、日本の政治家たちがビジョンを描く能力を有していないからである。「小泉改革」にしても、アメリカの一部の人々の利益を代表する政策を推し進めたブッシュ政権の言いなりになっただけで、日本のビジョンを示して未来を創造しようとしたものではない。だから、所詮は対処療法に過ぎず、それすらも間違っていれば、国民生活により大きな悪影響を及ぼしてしまう。本来の政治家の役割は、ビジョンを示して「状況」を創り出すことにある。グローバル金融資本主義は「信用」経済と実体経済との間の差を広げ過ぎたために大きな矛盾を引き起こした。その結果の大きな混乱であり、英米発のグローバル金融資本主義は破綻したのだ、と言っても良い。とすれば、新しいシステムのビジョンを「日本発」で作っても良いのだ。ルールを作ったものこそが、その後の展開では優位に立てる。だから、こそ今の状況をチャンスと捉えてビジョンを示すことが出来れば、「対処療法」に追われる状況そのものをなくしてしまえるかも知れないのである。

民主党の代表質問(所信表明?)も、その意味では対処療法の域を出てはいないし、世界全体を巻き込むほどのビジョンは示していない。その意味においては、自民党と大同小異である。それを考えれば、自らの弱体化を心底意識していて未来に絶望しているのでない限り、「解散」忌避はナンセンスである。ビジョンをつくり、それを国民に示す能力が、今の政治家たちには絶対に必要である。

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