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2009年6月16日 (火)

優駿/ORASION…決断と祈り

先日、久しぶりに20年ほど前の映画のVTRを見た。緒方拳と緒方直人の親子が競演している映画で、宮本輝の同名小説が原作の「優駿/ORASION」(1988年・日本/フジテレビ開局30周年記念作品)。仲代達矢や田中邦衛、石坂浩二などの名優や吉岡秀隆なども出演し、それぞれの持ち味を生かして好演している。

出演者の中で違和感を覚えるのは、和具工業の社長令嬢を演じる斉藤由貴だ。映画によっては持ち味を出しているのだが、この作品に関しては、ところどころで好演は見せるものの、全体のイメージとしては原作の物語と比較して少し泥臭さを感じさせる。私なら、同年代の渡辺典子か原田知世辺りをキャスティングしたかった。もう少し都会的に洗練された感じと意思の強さを併せ持つ味わいを出せれば、より一層面白い映画になったと思う。

ただ、物語としてはしっかりしている。風の強い日に北海道の小さな牧場・渡海ファームで生まれた一頭の仔馬。それは、牧場の息子・渡海博正(緒方直人)が初めて責任を持って世話をした仔馬である。和具工業の社長・和具平八郎(仲代)がこれを買い、オラシオン(スペイン語で《祈り》の意味)と名付けられる。だが、家族の中での様々な事情によって、その所有権は娘の久美子(斉藤)に、そしてさらには久美子の母親の違う弟であり腎臓に障害を抱えて病院から外に出ることすら出来ない田野誠(吉岡)へと移る。

運搬中の交通事故で前足に故障の危機という「爆弾」を抱えたオラシオン。けれども、渡海親子(拳・直人)や、久美子や誠、砂田調教師(田中)たちの思いを乗せてオラシオンは走り続ける。その背後で様々な運命が渦巻く。誠の死、平八郎の社長解任、渡海千造(緒方拳)の癌……。1800までは抜群の速さを誇るが2000以上では勝てなかった母親の戦績と前足の爆弾。それを思ってダービー出走を躊躇する博正や砂田。だが、久美子の決断と説得で、人々は日本ダービーへオラシオンを送り込む。ダービーの日を前に千造は亡くなるが、千造の、そして久美子や博正、砂田たちの想いを乗せてオラシオンは疾走する。そして……。

原作では、騎手の想いも丁寧に描かれているが、映画という枠の中では十分に寝られた作品であり、緒方親子をはじめとする俳優たちの熱演も光っている。政治の世界では「世襲」が問題になっているが、実力と才能があれば不満は出ないだろう。給付金の問題でも郵政の問題でも、麻生首相に久美子のような決断力があれば、また異なった結果となっただろう。能力のない人間が「世襲」しているから、「決断」が先送りされて状況が改善されずに悪化していくのである。映画を楽しむ心の隅で、そんな考えが頭を過った。

疾走するサラブレッド、そして北海道の美しい風景。2時間8分という時間を長いと感じさせない映画である。

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