« 依存の背景 | トップページ | 政権評価とマニフェスト »

2009年8月15日 (土)

今年も「ビルマの竪琴」

毎年、終戦記念日の頃になると、「ビルマの竪琴」が見たくなる。昨年はビデオデッキが壊れていて見ることができなかったが、今年は、古いVHFのテープを取り出して夕方から見出した。何度も見ている映画だが、何度見ても胸を打たれる。若き頃の中井貴一が多感で純真な水島上等兵を好演し、石坂浩二が隊長の役を演じて全体の雰囲気を支えている。

第一のエピソードは、歌による和解である。水島たちがタイへの脱出の途中、ビルマ(現ミャンマー)国境近くの村でイギリス軍に囲まれる。それに気付いた部隊は、広場に置きっぱなしだった弾薬を積んだ荷車の回収と、戦闘準備の時間を稼ぐために歌を歌い、騒ぐ。包囲に気付いてないとイギリス軍に思わせ、油断させるための作戦だった。ところが、たまたま歌った「埴生の宿」が状況を一変させる。その歌に、イギリス軍も声を合わせて歌いだし、結局それが停戦を知り、武装解除して生きながらえることになるのである。

映画ではこの辺りはさらりと流れていくだけだが、原作では、「埴生の宿」はもともとはスコットランド民謡で、その歌詞も遠い地から故郷を思うものであったことが書かれている。だから、両方の部隊がメロディーを知っていて、英語と日本で歌いだす…という場面の説得力が生まれる。もちろん、現実の近代戦争ではこのような牧歌的なことは起こり得ないだろうが、それゆえに一層胸に染みる。

次のエピソードは三角山で抵抗を続ける日本軍の部隊に水島が説得に向かうところから始まる。水島は必死に説得するが、指揮官はそれを受け入れず総攻撃が始まってしまう。戦闘に巻き込まれた水島はビルマの僧に助けられる。水島は、ビルマ僧の服を盗んで、ムドンに移動した隊に合流しようとするが、途中で、山や川に放置されているたくさんの日本兵の遺体を目にして、彼らの埋葬と鎮魂のためにビルマに残る決意をする。

それを知らない部隊の戦友たちは、水島がビルマ僧に化けて近くにいると察し、水島に一緒に日本に帰ろうと呼びかけるために歌を歌い続ける。その行動に、水島の心も揺れるが、部隊が日本に帰る直前に戦友たちの前に姿を見せ、別れの曲として「仰げば尊し」を演奏して姿を消す。翌日、水島から彼の思いと決意を述べた手紙が隊長宛に届く。帰国の船上で、隊長は水島の手紙をみんなに読んで聞かせる。

後半は、犠牲者への鎮魂である。近代以降の戦争は敵・味方に関係なく、多くの犠牲者を出している。それは、戦闘員(軍人)・非戦闘員(一般市民)を問わずに…である。そして、多くの犠牲者がそのまま放置されることもまれではない。そうした人々への鎮魂の思いをこの映画はいつも思い出させてくれる。太平洋戦争は終わったが、世界全体を見渡せば、まだまだ戦火や紛争は続いている。終戦記念日の今日、鎮魂の思いを新たにすると共に、不戦への努力を続けていきたいものである。

|

« 依存の背景 | トップページ | 政権評価とマニフェスト »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/120394/30971769

この記事へのトラックバック一覧です: 今年も「ビルマの竪琴」:

» ビルマからの手紙 [忍者大好きいななさむ書房]
ビルマからの手紙 [続きを読む]

受信: 2009年8月27日 (木) 15時09分

» 絢香 歌詞 [絢香 歌詞]
おかえり“と言ってくれる大切な人がいて、自分の帰る場所があることは、とても幸せなことです。速水もこみちが演じるのは、イケメンで理想的な恋人型のロボット「ナイト」です。 [続きを読む]

受信: 2009年9月 1日 (火) 12時25分

» 新型インフルエンザ 症状 [新型インフルエンザ 症状]
新型インフルエンザ [続きを読む]

受信: 2009年9月 3日 (木) 22時52分

« 依存の背景 | トップページ | 政権評価とマニフェスト »