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2010年12月 1日 (水)

タバコ・パージの強迫性

送られてきた文芸同人誌を読んでいたら、タバコの値上げをめぐってのことを題材にして書かれた作品が目にとまった。父がかつてはヘビー・スモーカーだった反動からか、タバコ自体はほとんど吸わないが、傍ですまなさそうにタバコを吸っている人に対して別に反感も無い。けれども、ここ数年のタバコ・パージは、どちらかと言えば強迫的な印象があり、精神的な面からは必ずしも健全だとは思えないように感じている。

確かに、タバコは身体の健康にプラスにはならないだろうし、依存性もある。けれどもそれは、コーヒーやお酒の類も同様である。例えば、お酒/アルコール飲料について考えてみても、過度に飲み続ければ肝臓をはじめとする内臓を傷めるし、依存性もある。さらにはアルコールが体内に入って神経系を麻痺させる働きもあるため、反応や判断力の低下をもたらし、人間関係の失敗や事故の原因となる可能性もタバコよりずっと高いと言えよう。アルコールを取って自動車の運転をすれば事故を起こす可能性は高くなるが、タバコはお酒類ほど運転への悪影響は無い。また、アルコール依存症は家族の関係性を破壊してアダルト・チルドレンを生み出す場合も少なくないことがずっと以前から指摘されているが、タバコの依存症がそうした人間関係のトラブルの直接の原因となっているような話は寡聞にして耳にしていない。

このように書いていると、タバコを擁護してお酒・アルコール類を糾弾しているように思われるかもしれないが、私自身はウイスキー特にシングルモルトのスコッチには目が無いし、泡盛の古酒も大好きである。所詮は嗜好品だし、節度を守ってたしなむならば精神衛生から見ても、ガマンしてストレスを溜め込むよりはずっと良いと思っている口である。だから、酒を飲みながら「身体に悪いことはえてして心には良い」などと軽口を叩いたりもする。だから、ウイスキーを飲むことに対して、今のタバコ並みのパージを受ければ、反発し、「自分の主義主張を不遜に他人に押付ける人権侵害だ」くらいは言うだろうし、「無理に禁止を強要して、結果としてストレスをため、感情が不安定になったり鬱などになったりしたら責任は取れるのか」と食って掛かりもするかもしれない。その意味では、最近の愛煙家たちはずいぶん礼儀正しいと思う。

確かに、マナーも何もなく傍若無人にふるまって他人に迷惑をかけるようなスモーカーや酒飲みは言語道断だが、病的なまでにマイノリティーになりつつある愛煙家を排除しようとする姿勢は逆に見苦しいし、精神的にも不健全である。全面的な禁煙を押付けるのではなく、喫煙スペースを多少なりとも確保しておくようなマイノリティーの人権を守る発想を維持している社会の方が精神的にはずっと健全だと思う。

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