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2011年11月27日 (日)

「自由」貿易の検証

決断力、交渉力に欠けた野田総理と現政権は、国内・党内の慎重論を無視して、アメリカの期待通りにTPP交渉への日本の参加を決めた。「自由」貿易という言葉は、その問題点を覆い隠している。が、真実は「製品輸出をする側の自由」貿易なのであって、輸入する側には多くのマイナス面があることは近代日本の歴史を紐解けば容易に理解できる。

安政の不平等条約は治外法権と関税自主権がないことが大きな問題であり、明治以降、政府は関税自主権の回復まで多くの苦難の交渉を繰り返さなければならず、その間に、国内の産業は輸出されてきた「外国製品」によって大きな打撃を受け、国民生活は停滞した。それを実感していたがゆえに当時の政府は不平等条約の改正、特に関税自主権の回復に苦労したし、また相手国は輸出の際のうまみがあるからこそ、関税自主権の回復に同意するのに治外法権の撤廃以上に時間がかかったのである。

TPPは、その「関税」を0にしていこうとするものだが、それは輸入する側の権利の侵害でもある。関税がなくなって安い農産物が日本に流入してきた時、日本の農業への打撃の大きさに対する懸念や安全性への懸念はもっともであり、「日本の高品質農作物は高く売れるから農業再生のチャンスである」とするような話は、実は「貧乏人は麦を食え」という言葉と近似値である「貧乏人は安全性の不安な外国産農産物を食え」という状況に確実につながっていく。推進派の「農業再生の最後のチャンス」は国民の食の安全性をほとんど考えていない発言なのである。そして、市井の塾経営者が簡単に看破できるこの事実をなぜか大マスコミは伝えていない。

EUの経済危機は通貨統合や区域内経済活動の「自由」化の危険な部分をモロに伝えている。そうした中、本当に「自由」貿易が世界の多くの人々の幸福につながっているか、きちんと検証する必要がある。

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