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2011年11月13日 (日)

誰のためのTPP

対米売国奴隷・野田総理は、国内の多数の反対や慎重論、党内の多数の反対と慎重論を完璧に無視してTPPへの参加を「決断」した。それは、決断と言うよりは、他の選択肢を考慮せずに、アメリカの主張を無批判に受け入れたものである。アメリカの一部の金持ちの欲望に隷属するこの政策決定は、江戸時代の開国を決定した徳川幕府の政治判断以上に愚かで情けないものであり、現在の日本の「右翼」が本当に国を売れうる人たちの集まりであれば、井伊大老を暗殺した水戸浪士に倣うような行動に出てもおかしくないと思うのだが、この売国政策に対しての「右翼」の行動があまりにも鈍いように見えるのは、気のせいに過ぎないのだろうか。

さて、TPPは多国間での関税や貿易障壁の撤廃を目的とする…ということらしく、関税が目の敵にされているが、本当に関税が悪なのか…ということを考えると、必ずしもそうとは言えない事が歴史を紐解けばすぐに理解できる。安政の不平等条約が、関税の自主権を持たないものであったために、日本国内の産業に大打撃を与え、多くの国民が生活に苦しみ、それが攘夷運動や討幕運動の激化につながった。結局、関税は自国の産業と労働者を守る大切なものであり、外部からそれをコントロールしようとするのはあくまでも輸出する側の都合と欲望があるからなのである。だから、多国籍の大企業は輸出を有利にする関税の撤廃にこだわる訳だが、それによって自国は就労の機会と内需を奪われ、食料生産に関わる重要な国内産業の衰退を引き起こしかねない危険をはらんでいる。

特に、世界の人口が70億を突破して増え続けている現実を考えれば、そして、実は各地で騒乱や内乱、天災が頻発する状況をかんがみれば、今の時点で食料の自給率の低下に直結する危険性の高いTPPは、日本の安全を脅かすことに直結しかねないのである。TPP推進派の中には「日本の農業の技術力は高いから、逆にチャンスになる」などとの発言も聞こえてくるが、高級な食材の生産に日本の農業生産をシフトさせようとする方向は当然、日本食材の値上がりにつながり、「貧乏人は麦を食え」ならぬ「貧乏人は安全性が低いかもしれない安い外国食材を食え」と言う言葉をオブラートにくるんで言っているのと変わらない。「一億総中流」が崩壊し、低額所得者層が増え続けている現実に全く目を向けていない発言である事は、少し考えれば簡単に分かってしまう。

そして、何よりの問題は「交渉力」である。小沢一郎や亀井静香などの保守派の癖のある政治家が対米交渉において全権を担うのであればともかく、普天間基地の移設問題にしても、時期戦闘機の選定問題にしても、アメリカ政府にNoが言えない野田総理や現政権にどれだけの「交渉力」があるというのか。「きちんと情報を出さないなら日本は参加を拒否し、韓国や中国と共同歩調を検討することも考慮せざるを得ない」という程度の発言で揺さぶりをかけることすらできない現政権の「交渉力」である。アメリカ人民にも、日本国民にも特にならず、一部の金持ち層しか潤わない主張を無自覚・無批判に受け入れるのが関の山であろう。

域内の関税を撤廃し、労働力の移動の自由な行き来を拡大しようとしたEUの今の姿も1つの考えるポイントを提供してくれているし、中国や韓国やカナダの参加の動きの鈍さも大いに気になる点である。TPP参加を表明する前に絶対にやらなければならないことが、実は山ほどあるのだ、と言えよう。

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