何とか書いた詩
来週の日曜は詩の同人の合評会がある。そしてその日は、次の号のための詩の締切日でもある。そのことは、ずっと前から分かっていたし、先月末頃から、何とか書きたいと思っていた。ところが、どうしても詩が書けない日が続いていた。さすがに、先週末にはかなり焦っていた。ところが、いくら焦っても、最初の1行が出てこない。その1行を書けるかどうかが、個人的には、詩を書く際の最も重要なポイントになっている。
別の雑誌の同人仲間の1人は、「降りてこないと書けない」と良く口にする。彼女は小説を書いているのだが、その感覚はよく分かる。エッセイや論文はともかく、小説や童話をきちんと書こうとすれば日常レベルの精神状態ではダメで、意識を集中して深いところまで【降りて】いきながらイメージを汲み出してこないとなかなか進んでいかないのだ。歌詞や詩はそこまでの感覚は無いが、それでもベースとなるイメージが必要で、そのイメージが脳裏にきらめいてはじめて最初の1行が出てくる、というのが私の創作パターンである。
ところが、そんな瞬間は、突然訪れる。今回の場合は、ブランチを終えて離れの玄関先に歩いてきた際に見たアキアカネがイメージを引き出してくれた。お陰で、その夕方、最初の1行を書き始めることが出来た。けれども20行目に近づいた辺りで、言葉が止まってしまった。その日は、結局、諦めて中断したが、今日の夕食を終えて外に出た時、不意に続きがひらめいた。何とか書き上げることが出来たのは、ほんの数時間ほど前のことだった。若い頃は、イメージももっとすらすら広がったのだが、これも歳のせいだろうか。まあ、とりあえず書けたことで今夜のところは良しとしよう。
木枯らしの音が耳を射す
十一月の晴れた朝
一匹の秋アカネが
陽だまりにとまっている
ピンと伸びた長い尾は
紅葉よりも鮮やかに染まり
網模様の付いた透明な羽を静止させて
大きな眼で晴れた南天を見つめている
周りには仲間の姿もなく
小さな畑を隔てた家の陰を
冷たい風が吹き抜ける
それでも
玄関先の陽だまりは
北風が遮られ
温かな光が満ちている
そこに近づく足音に
赤とんぼは羽ばたき
収穫を終えた畑を抜けて
西へと飛び去った
気象情報は
寒気の南下を告げていた
明日の天気は下り坂
冬の足音は
一層近づいている
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